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【改正健康増進法とは】罰則を受けないために企業や店舗が理解しておくべきこと

旬な話題を知りたい 2021年11月17日

改正健康増進法が2020年4月に全面施行されました。新たに追加された「望まない受動喫煙の防止」では、施設区分による喫煙の可否、設置できる喫煙所の要件などが定められ、違反すると50万円以下の罰則(過料)の対象になる恐れがあります。
コロナ禍では、「3密」回避の意味合いで、そもそも喫煙所が閉鎖されたり、人数制限が設けられたりしたため、受動喫煙の防止対策については曖昧な企業・店舗は多いかもしれません。

そこで本記事では、改正健康増進法が企業や店舗に求める要件や、そもそも自社や自店舗は喫煙所を設置できるのかといったポイントなどを解説します。

改正健康増進法とは?

改正健康増進法は、

望まない受動喫煙(非喫煙者がたばこの煙を吸い込むこと)の防止を図るため、多くの利用者がいる施設等の区分に応じ、一定の場所を除いて禁煙にするなどの措置を定めた法律

です。これにより、望まない受動喫煙を防止するための取り組みが、マナーから義務(ルール)へと変わりました。

改正健康増進法では、次の4つの義務を課しています。

  1. 喫煙禁止場所における喫煙の禁止
  2. 紛らわしい標識の掲示、標識の汚損等の禁止
  3. 喫煙禁止場所での喫煙器具、設備等の設置禁止
  4. 喫煙エリアへ20歳未満の者を立ち入らせない

義務に違反すると、まずは指導の対象となり、指導に従わない場合等は義務違反の内容に応じて勧告・命令等が行われ、それでも改善が見られない場合に限って50万円以下の罰則(過料)が適用されます。

改正健康増進法の対象施設

改正健康増進法では施設の種類によって、求められる受動喫煙防止対策が異なります。

1)第一種施設

第一種施設は、学校、病院、児童福祉施設、行政機関の庁舎などが該当します。子供や施設利用者、患者に特に配慮する必要がある施設です。

実は、第一種施設だけは、2019年7月1日から改正健康増進法が適用されています。

これらの施設は敷地内が全面禁煙になり、屋外でも、受動喫煙を防止するための措置が取られた場所に、喫煙場所を設置する必要があります。

2)第二種施設

第二種施設は、事務所や工場、ホテル、旅館、飲食店などの施設が該当します。

これらの施設では原則屋内禁煙とされていますが、経営判断により、屋内に喫煙専用室を設置するなどの対策を講じて喫煙を認めることは可能です。

ただし、屋内で喫煙を認めた場合、喫煙専用室では飲食が禁止されています。一方で、加熱式たばこ専用喫煙室では飲食の提供が可能です。

3)既存の経営規模の小さな飲食店

「既存の経営規模の小さな飲食店」とは、次の3つの要件を全て満たす飲食店のことを指します。

  1. 2020年3月31日時点ですでに営業していること
  2. 個人または中小企業(資本金5000万円以下)が経営していること
  3. 客席面積が100平方メートル以下であること

この要件を満たす飲食店については、経営規模が小さいことから、直ちに喫煙専用室等を設置することが経営を圧迫し、事業継続に影響を与えることが考えられます。そのため、経過措置として、喫煙可能な場所である旨を掲示することで、これまで通り喫煙可となっています。

4)喫煙目的施設

喫煙目的施設は、喫煙する場所を提供することを主たる目的とした施設のことです。具体的には、施設屋内の公衆喫煙所、喫煙を目的とするバーやスナック、店内で喫煙可能なたばこ販売店などが該当します。

これらの施設は、屋外へのたばこの煙流出を防止するなどの措置を講じれば、屋内で喫煙が可能です。

飲食店オーナーや企業が知っておくべき「新しい喫煙ルール」

改めて、改正健康増進法によって定められた「新しい喫煙ルール」を整理します。一部、ここまで解説したことのおさらいにはなりますが、自社や自店舗が違反していないかいま一度チェックしましょう。

  • 飲食店は原則屋内禁煙
  • 「喫煙専用室」は飲食不可だが、「加熱式たばこ専用喫煙室」は飲食可
  • 喫煙室の設置において満たすべき3つの技術的基準がある
  • 20歳未満は、来店客も従業員も喫煙エリアへは入室禁止
  • 店舗入り口に喫煙ルールを示す標識を掲示しないといけない

それぞれ解説します。

1)飲食店は原則屋内禁煙

前述の通り、経営規模が小さい飲食店については、経過措置として屋内での喫煙が認められていますが、それ以外の飲食店では原則屋内禁煙とされています。

また、規模の大きな飲食店が屋内で喫煙を認める場合は、喫煙専用施設や加熱式たばこ専用喫煙室を設置する必要があります。

これらの措置を講じていなければ改正健康増進法に違反している恐れがあるため、要件をよく確認しましょう。

2)「喫煙専用室」は飲食不可だが「加熱式たばこ専用喫煙室」は飲食可

紛らわしいのが、飲食の可否の要件です。通常のたばこによる喫煙が行われる「喫煙専用室」では飲食を提供することはできませんが、「加熱式たばこ専用喫煙室」では飲食の提供を許されています。

3)喫煙室の設置において満たすべき3つの技術的基準がある

屋内に喫煙室を設置する場合は、喫煙室から非喫煙場所へたばこの煙やにおいの流入を防止するため、次の3つの技術的基準を満たした措置を講じる必要があります。

  1. 出入り口において、室外から屋内に流入する気流が毎秒風速0.2メートル以上であること
  2. たばこの煙(蒸気を含む)が室内から室外に流出しないよう、壁、天井等によって区画されていること
  3. たばこの煙(蒸気を含む)が屋外または外部の場所に排気されていること

1.については、出入り口にドアがある場合は、ドアを開けた状態で風速を測定し、喫煙室に向かう気流が風速0.2m/秒以上を満たしている必要があります。

このように、単に喫煙室を設置すれば喫煙が認められるわけではないことに注意が必要です。

4)20歳未満は、来店客も従業員も喫煙エリアへは入室禁止

施設等の管理権限者は、来店客・従業員問わず、20歳未満の人が喫煙エリアに立ち入ることを防止しなければなりません。

また、従業員の募集を行う際は、どのように受動喫煙対策を講じているか募集や求人に明示する義務が生じます。

5)店舗入り口に喫煙ルールを示す標識を掲示しないといけない

喫煙を認める店舗は、入り口に店舗の喫煙ルールを示す標識を掲示しなければなりません。

標識は、喫煙専用室に関する標識、加熱式たばこ専用喫煙室に関する標識、喫煙目的室に関する標識、喫煙可能室に関する標識、その他の標識で全16種類あり、厚生労働省の特設サイトからダウンロードすることができます。

改正健康増進法の罰則とは

改正健康増進法によって課せられた義務に違反した場合、過料が科せられる恐れがあります。罰則について詳しく解説します。

次の2つは、全ての人が罰則の対象になります。

  1. 喫煙禁止場所での喫煙
  2. 紛らわしい標識の掲示、標識の汚損等

次の3つは、施設等の管理権限者が罰則の対象になります。

  1. 喫煙禁止エリアで喫煙器具や設備等を撤去していない
  2. 喫煙室の基準を満たしていないまま利用している
  3. 必要な標識を掲示していない

これらに違反した場合はまず、指導や助言、勧告・公表・命令等の措置がなされます。それでも状況が改善しない場合は、都道府県知事等の通知に基づき、地方裁判所の裁判手続きにより過料が科されることがあります。

過料は、違反内容によって20万円以上~50万円以下と異なります。

受動喫煙防止対策は助成金の活用も視野に

事業者が受動喫煙防止対策を行う際、一定の条件を満たせば厚生労働省の「受動喫煙防止対策助成金」を受給することが可能です。

この助成金は喫煙専用室を設置・改修する場合に必要な経費を助成する制度で、認められた経費の3分の2(主たる業種の産業分類が飲食店以外は2分の1)、上限100万円まで支給されます。

助成対象は電気工事、建築工事、配管工事等に係る人件費、材料費、運搬費、設計費、管理費などが挙げられ、デザイン料や机、椅子などの経費は助成対象外です。

なお、この助成金は工事前に申請が必要です。上手に助成制度を活用し、法律に定められた受動喫煙防止対策を徹底しましょう。

■厚生労働省「受動喫煙防止対策助成金 職場の受動喫煙防止対策に関する各種支援事業(財政的支援)」■
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000049868.html

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以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2021年9月24日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

執筆者
日本情報マート

中小企業の頼れる情報源として、経営者の意思決定をサポートするコンテンツを配信。 「開業収支」「業界動向」「朝礼スピーチ」など2000本を超えるコンテンツを有するほか、年間200件以上の市場調査も行っている。現在、50を超える金融機関に情報提供を行っている。

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